1周年&10万ヒット記念
全シリーズ主要キャラ仮装パーティ
in どんぐり御殿


関係者各位 殿

謹啓 時下ままますご清勝のこととお慶び申し上げます。
このたび、柏枝真郷のホームページ「ACORN」が開設1周年を迎えることとなりました。9月に10万ヒットも記録いたしましたので、その記念イベントと併せまして、仮装パーティを開催いたします。
皆さまご多忙のこととは存じますが、万障お繰り合わせのうえ、ぜひともご出席いただいきたく、ご案内いたします。
なお、仮装に後ろ向きな性格のキャラに対しては、作者より強制的にリクエストさせていただきましたので、あしからずご了承ください。

                                       敬具
                                 不肖の作者 柏枝真郷

==出席メンバーリスト==
  クラーク・デラウエア       吉家邦夫 
  アンソニー・フォーセット     築島朋也
  ダニエル・ドレイク(副司会)   板倉恒之
  遠野遼一郎            岡崎祐司
  宮城篤史             阿部陽平
  遠野美雪             長谷川文彦
  毛利直樹(司会) 
  曽我部綱彦(副司会)       野々村清美(軽食・飲み物担当)
  シドニー・ホプキンス       長谷川聡美(同上)
  広瀬伸行(通訳)          ジェローム・スウェイン
                    (特別出演につき仮装不要)

 

◆◆「どんぐり御殿」の厨房にて◆◆


野々村清美「ああ忙しい。17名もの飲み物と軽食を用意しなきゃならないなんて……。前にもこんなことがあったわよね。不思議な座談会だったけど……」
長谷川聡美「あら、清美さん。お久しぶりですね。また、ニューヨークからいらっしゃったんですか?」
清美「まあ聡美さん。そうなんですよ、作者に呼ばれまして」
聡美「私もです。なんでも今回は仮装パーティだとか? 兄が困惑してましたが……」
清美「そうそう。広瀬さんやお友達の刑事さんたちも、そういうの苦手そうで──なにしろ、ふだんはTシャツかジーンズしか着ない人達ですから。本当はびしっとスーツ姿で決めてくれると、さぞや恰好いいのに、と思うんですけど……照れくさいみたいで」
聡美「そうですね、そういう照れくささってあるかもしれませんね。兄たちは元が銀行員なので、スーツは着慣れてますけど、地味なスーツでしょう? やっぱり派手な恰好は苦手みたいで……」

◆◆同時刻、「どんぐり御殿」の控え室◆◆
毛利直樹「今日も、拙者の晴れ舞台ですな。2度目とはいえ武者震いがしてきましたぞ。では、身なりの確認を。おめでたい日にふさわしく、真っ赤な縮緬の帯を使いたかったんですけどねえ。今回は『仮装ぱあてぃ』ということで、洋装に挑戦してみました。いかがです?」
広瀬伸行「はあ……まあ、似合ってますが……。何の扮装ですか?」
毛利「ええと、嫁いだ姉に相談したら、『仮装パーティって、もしかしたら、終わってしまったけど、ハロウィーンに関係してるんじゃない? だったら、髪の長さからして、魔女がぴったりよ』と──拙者も、売れなくても役者ですから、女装にも挑戦ということで、びでおを借りて研究しました。ええと、『あだむす・ふぁみりぃ』の」
伸行「ああ……わかった! ミセス・アダムスか。それで黒いロングドレスに濃い化粧なのか……」
毛利「胸には詰め物入りですぞ。ちと変な気分ですが、ドレスの裾さばきは、着物で慣れてますから」
伸行「はあ……でしょうね。ところで……また、おれが同時通訳なんでしょうか?」
毛利「そのようですよ。でも、広瀬さん、仮装は?」
伸行「してますけど……」
毛利「どこが? だって、普通の」
伸行「だから金もないし、『いまどきの映画に出てくる通行人』役のつもりで──」
毛利「そんな、つまらないじゃありませんか。あ、じゃあ、こうしましょう。実は新撰組の衣装があるんですよ。柏枝から『用意しておくように』という命令がありましてね」
伸行「作者からの命令……?」
毛利「ええ。なんのつもりかは知りませんが。まあ、拙者としても、本当は遠野センセに着ていただいて、土方歳三の役をやっていただきたかったんですけどね。『なぜ私が、34歳で若死にした男の役をやらなければならないのかね?』と、にらまれまして。たしかにセンセも40歳ですしねえ──でも、広瀬さんなら、ちょうど髪も長いですし、沖田総司の役もぴったりです。まあ、実物の沖田はさほどのハンサムじゃなかったそうですが、史実は置いておいて。ささ、これに着替えてください」
伸行「……はあ? なんだかよくわかりませんけど……。じゃあ、お言葉に甘えて」

  →→→ 伸行着替え中 (毛利が着つけをしてます)
      さらに、ここから先は伸行が同時通訳をしているという前提のもとに
      物語が進行します →→→→


毛利「おお、よくお似合いで。浅黄の羽織に『誠』の文字──なかなか、りりしいですな」
伸行「はあ……。じゃあ、よろしくお願いいたします」
ダニエル・ドレイク「やあ、ノブ。驚いたなあ……。そのサムライの恰好、見違えたよ」
伸行「……ダニエルは……。その帽子は提督の帽子だよね。もしかして、ドレイク船長?」
ダニエル「大当たり! さすがに勘がいいね。スペインの無敵艦隊を破ったフランシス・ドレイクさ。もっとも、あの時代のタイツみたいなのは着る気になれなかったから、下は普通のズボンにしたんだが、上のフロックコートは芝居好きの知人から借りてきた」
毛利「ほう……無敵艦隊とは。拙者、異国の歴史に関しては造詣が浅いのですが、だいたい秀吉の時代ですかな?7つの海を制覇する──大航海時代……男の浪漫ですな」
曽我部綱彦「男の浪漫なら、ぼくのほうがふさわしいかな。『いまいちど満たせ、大杯を』(Fill the goblet again)」
毛利「出たな、この不埒者め──……。いつにも増して、きざったらしいその恰好は?」
綱彦「もちろんイギリスの詩人にして貴族、バイロンさ。波瀾万丈の生涯の末、最期はギリシアの義勇軍を組織し、困難に耐えながら36歳の若さにして熱病で亡くなり、ギリシア独立の恩人として名をとどめた英雄でもある」
ダニエル「……なるほど。フロックコートやウエストコートだけでなく、ブリーチ(短いズボンのこと)にタイツとは、本格的だね。──(笑いをかみころしている)だが、バイロンは眼鏡をかけてなかったと思うけど? その金の眼鏡チェーンも」
綱彦「これは、ぼくなりのアレンジだ。コンタクトレンズにしてもよかったのだが、もしも、バイロンがいまの時代に生きていたら、こういったスタイルを好むだろう」
ダニエル「……(ひたすら笑いを噛み殺している)」
毛利「拙者の女装はいかがです? あだむす・ふぁみりぃの……」
伸行「……(また今回も、通訳が大変そうだなあ……)」

◆◆同時刻、「どんぐり御殿」の宴会場◆◆

阿部陽平「あいかわらず変な連中の集まりだぜ。ついでに、なんで柏枝のホームページの記念に、おれたちが駆り出されるんだ? 日本の失業率がほとんど改善してないってのに、のんきなもんだぜ」
長谷川文彦「でも、不況だからこそ、こういう気晴らしも必要なのかも。それに仮装パーティってのも、おもしろそうだし」
阿部「仮装ねえ──おれに言わせれば、サラリーマンってのは背広ネクタイで仮装してるようなもんだけどな。一種の戦闘服というか──」
長谷川「たしかに糊のきいたシャツを着て、ネクタイを締めると、気分が引き締まるよね。でも……阿部くんの、その恰好は……」
阿部「日ごろの鬱憤を晴らそうを思ってな。これぞ『ハローワーク職員』」
長谷川「ハローワークの職員というより──岩清水さんの真似、といったほうがいいと思うけど。その黒い袖カバーも、黒縁の眼鏡も──阿部くん近視じゃないよね?」
阿部「もちろん、レンズには度がはいってない伊達眼鏡だけどな。おまえこそ、なんだな。その恰好」
長谷川「だって他に服がなかったから──母に聞いたら、祖父が若いころに着ていた書生風の服があるって聞いてさ」
阿部「書生風の服……と、いうより、単なる着物と袴のような気がするが──まあ、おまえが着ると、なんとなく明治時代の書生風にも見えなくはないな」
長谷川「そう? よかった……(満面の笑顔)」


築島朋也「先輩、その恰好で本当に行くんですか?」
吉家邦夫「そんなに似てないかな? ビル・ゲイツに」
築島「ぜったいに似てないです。容姿がまるっきり違うんですから、眼鏡をかけたって似るわけないじゃないですか」
吉家「そりゃまあ、もともとおれは生粋の日本人だけどさ。でも髪の色はやや近いだろ?」
築島「そういう意味じゃなくて──だいたい、なんで、あんな悪評高い人物の仮装をするんですか?」
吉家「そりゃ、日ごろ仕事を遅らせる最大の原因であるOSをつくった張本人だからさ。新しいOSが発表されるたびに、おれたちに苦労の増える。だがまあ、おれたちはそれで給料をもらってるような面もあるしさ」
築島「たしかにパソコンがテレビ並みに簡単になったら、おれたちは失業するかもしれませんけどね」
吉家「まあね。それより、おまえこそ、その恰好だと──コアなファンから石を投げられるんじゃないか?」
築島「まずいですか? 母の若いころのアイドルなんですけど──それにこの恰好なら、ジーンズとTシャツに、カウボーイ・ハットをかぶってウイスキーの壜を持ってるだけで済みますし」
吉家「うーん……『カサブランカ・ダンディ』だっけ? ガキのころにTVで見た記憶があるけどさ。……大丈夫かなあ。まあ、今回の出席者は、男だけだけど……」


岡崎祐司「あれ、吉家たちだ──でも、吉家って、眼鏡をかけてるけど、なんの仮装だろう?」
板倉恒之「どれ──ははあ、なるほど。偶然の一致かね、おれのライバルに扮するとはね」
岡崎「ライバル? ってことは──もしかしてビル・ゲイツ?」
板倉「たぶんな。しかし、おれも眼鏡をかけてるし、あっちの元銀行員の阿部だっけ? 彼も黒縁の眼鏡かけてるし、眼鏡の連中が多いな」
岡崎「でも、付け髭をつけてるのは、恒之だけだよ。それに、吉家もゲイツにはぜんぜん似てないけど、恒之だってスティーブ・ジョブスには似てないよ」
板倉「そうか? だが、いまやMACの救世主だぜ? ジーンズとTシャツで済むから楽だし、半分白髪なのも近いし。まあ、おまえのほうが、雰囲気が似てるかもしれないが」
岡崎「そう? 小学校のころ夢中で『ドガベン』を読んだクチだから。でも、なんか野球のユニフォームって、ちょっと気恥ずかしいね。ちょうど一緒に仕事をしていた曽我部銀行の人が野球部でさ、背格好も近いからユニフォームを借してもらったんだけど……なんか、もろにコスプレみたいで」
板倉「そうか? けっこう似合ってるぞ」
岡崎「え? あ……(照れ笑い)そう? でも、ぼくの場合は髪が猫っ毛だし……」
板倉「どうぜ帽子をかぶるんだから、かまわんだろ」


クラーク・デラウエア「仮装パーティだなんて、何を考えてるのかね? おまけにジェロームだけ『特別出演のため仮装不要』って特別待遇は何なんだ?」
アンソニー・フォーセット「そりゃ……もともと本編のほうでも特別出演のようなものだから」
クラーク「格が違うわけか。だが──俺はカウボーイ・ハットだけかぶってりゃ、そのままDESPERADO(西部開拓史時代の、ならず者)になると思ってたのに、『作者から強制的なリクエスト』だなんて、なに考えてるんだ?」
アンソニー「『俺たちに明日はない』か。たぶん柏枝なりのヘタな語呂合わせなんだと思うよ。『ボニーとクライド』──『トニーとクラーク』……」
クラーク「……駄洒落以下だな……」
アンソニー「まあね。それに、ボニーは女性なのに……。『男性だったという想定のもとでの仮装』というのは──無理があるよね。フェイ・ダナウェイのボニーって、僕はけっこう好きだったんだけど」
シドニー・ホプキンス「『ボニーとクライド』なら、まだ救いがあるよ。大恐慌時代の恰好をしてりゃいいんだろ? 普通のスーツにフェルト帽だよな。スーツの型が、すこしクラシックになる程度だ。ところが、おれへのリクエストときたら──」
クラーク「なんのリクエストだったんだ?」
シドニー「探偵だろ? この恰好を見て推理できねえのかよ」
クラーク「といっても……普通のジーンズ姿の上からシーツを巻き付けてるだけだしな。『浮気の現場を亭主に見つかって、逃げ出した若いツバメ』──ってんじゃ下世話すぎる設定だな」
アンソニー「(くすくす笑いながら)僕──わかった。トーマス・エドワード・ロレンスじゃない? 『アラビアのロレンス』の」
シドニー「当たり。といっても、おれ、あの映画は観てねえしな。中東情勢が緊迫している現代に、なんで『アラビアのロレンス』なんだ? アホな柏枝が湾岸戦争にひっかっけたのかもしれんが──民族衣装を調達するのも面倒だから、アパートにあったシーツをもってきただけだ」
アンソニー「カフタンだっけ? 袖と裾丈が長いマントみたいな衣服──あれも国や地方や身分によって違うみたいだから──けっこう難しいよね」
シドニー「だろ? なのに柏枝ときたら──」
ダニエル「やあ、シドニー。やっぱりな。柏枝の予想したとおりだ」
シドニー「ダニエル……だよな? えらく昔風の恰好だが──それに、『柏枝の予想したとおり』って?」
ダニエル「ぼくのほうに通知が来てたんだよ。『おそらくまともに衣装を用意しないだろうから、演劇関係の知り合いに頼んで調達しておくように』ってね。更衣室に用意してあるから、着替えてきたらどうだい?」
シドニー「着替えろ……だと?」
ダニエル「どんなにアホな作者でも、作者命令には逆らわないほうが身のためだと思うけど? それともずっと生殺しのほうがいいなら……」
シドニー「わかったよ。着替えるよ」


遠野美雪「篤史、ぼくの恰好は、どう?」
(作者注:ここで「銀河鉄道999」のテーマソングを歌ってください)
宮城篤史「……。(溜息)あのさあ、美雪。なんで『鉄郎』なわけ?」
美雪「あのアニメ好きだったしさ。それに、父さんの家の物置を探したら、使えそうなマントと帽子が出てきたし。髪型をちょっと変えれば、近いかなって思って」
篤史「そりゃそうだけどさ……顔や体型がぜんぜん違うんだけど……。」
美雪「あれはアニメのデフォルメだから。本当は篤史にも、メーテルの役をやってもらいたかったんだけどなあ」
篤史「女装は毛利さんがやってるから、充分だよ。それに柏枝から作者命令によるリクエストが来たしさ──なんで29歳のおれに『トーマの心臓』のオスカー役をやらせたがるのかは謎だけど……あれ、ギムナジウムの話だろ? なんでおれが高校生の恰好をしなきゃいけないんだ? 幸い、美雪が学校の先輩から制服を借りてくれたから、助かったけどさ」
美雪「でも、その制服、似合ってるよ。ぼくがもう少し背が高かったら、ぼくの制服を貸したんだけど……。そうやってブレザーにリボンのタイを結んでいると、なんか、貴公子って感じだよね」
篤史「……遼一郎が一緒だと……なんか変な組み合わせにも見えなくないけど……」
遼一郎「どこが変なのかね?」
篤史「どこがって──『修道士』の恰好だなんてさ。ドラキュラ伯爵ならわかるけど─……。だいいち、遼一郎は無宗教だろ?」
遼一郎「ただの仮装だし、聖職者を軽んじているわけではない。尼僧の扮装をするよりは、マシだろう」
篤史「尼僧……(←想像して、ひきつり笑いを浮かべている)」

NEXT PAGE →
|■HOME|■NOVELS|
Copyright © 1999-2000 MASATO KASHIWAE All Rights Reserved
禁・無断転載 柏枝真郷