1周年&10万ヒット記念 全シリーズ主要キャラ仮装パーティ  頁2

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◆◆約20分後、「どんぐり御殿」の宴会場◆◆

黒いロングドレスで女装した毛利と、羽織袴で新撰組の扮装をした伸行、
さらに提督風のダニエル、バイロン風(の、つもり)の綱彦が登場。
飲み物と食事を運んできた清美と聡美が眼を丸くし、さらに吹き出しそうになりながら、笑いをこらえて退場。

毛利「さて、皆さま。これより、仮装パーティを開催いたします」
美雪「毛利さん、格好いい!──じゃなくて、綺麗!」
毛利「え? あ──ほほほほ。綺麗ですかな? ありがとうごさいます。美雪ぼっちゃま。で──ええと、ご本人は『仮装したつもり』でも、他の人には、そう見えない場合がありますので、ひとりずつ、ご紹介していきましょう」
篤史「そういえば、そうだよな。だいたい『トーマの心臓』や『銀河鉄道999』なんて、日本人ならともかく、海外の人には、わけがわからないよね」
遼一郎「かえって、おもしろいのではないかね。勘違いがさらに新たな勘違いを呼ぶのも、また一興かもしれん」
毛利「さすが遠野センセ。おっしゃるとおりでございます。そこで、各自、自分が扮した役柄について自己紹介していただきますが、あまり詳細な説明はご不要ということで、ご覧になるかたの解釈におまかせいたします」
伸行「……(いいいのかなあ。すごい勘違いの嵐になりそうだけど)……」
シドニー「……(ただ呆然と伸行を観ている)」
毛利「では、まず、日本組から順番に──」

吉家「おれがトップバッター? ええと……ビル・ゲイツです」
シドニー「ゲイツって……あの司法省と揉めてる某M社の会長か?」
ダニエル「本人よりハンサムすぎるのが難点だが──」
築島「ほら、先輩。おれが言ったとおりじゃないですか。だいたい先輩は『クールが売り物』だったくせに──」
吉家「うるさいな、おまえこそ──」
毛利「ほらほら、そこのカップル。痴話喧嘩は家に帰ってからにしましょう」

築島「2番手はおれか。えーと日本の歌手というか──母いわく『永遠の美青年』の、沢×研△で──『カサブランカ・ダンディ』という歌を歌っていたときの恰好です」
クラーク「『カサブランカ』は知ってるが──」
アンソニー「ハンフリー・ボガードってジーンズじゃなかったよね?」
長谷川「あ、なんとなく似てるかも……。ぼくの母も実はファンでねえ」
阿部「おまえの──あの、おふくろさんが?」
長谷川「うん。グループサウンズ全盛のころから、好きだったみたい」
阿部「あの、おふくろさんがねえ(←あまりにイメージとかけ離れているので、想像できない)」

板倉「3番手──本当は吉家のビル・ゲイツの隣に並んだほうが、おもしろいんだが──Apple社の、スティーブ・ジョブスだ」
ダニエル「……なるほど。IMACの仕掛け人だな」
美雪「IMACを作った人なわけ? へえ……なんかもう少し年をとったら、伊藤さんみたいだね」
篤史「そういえば、おれも昔、会社づとめをしてたころはMACを使ってたっけ」
シドニー「ふん……おれはパソコンなんざ嫌いだから、ゲイツでもジョブスでもどっちでもいいが──司法省と揉めてるのだけは早く決着してもらわんと」
クラーク&アンソニー「???(←このふたりだけ物語の時代が違うので、話がわからない)」

岡崎「4番め──ええと……海外の人はまったく知らないと思いますが、日本の有名な野球マンガの登場人物で、『里中』というピッチャーです」
美雪「あ、ぼく知ってる! マンガも読んだよ。雰囲気が似てる(拍手)」
岡崎「え? あ……そう? ありがとう。(照れ笑いをしている)」
シドニー「そのキャラの所属する野球チームは? 日本のプロ野球チームなのか?」
岡崎「ええと、最初は高校の野球部なんですが、卒業後はプロ野球に入って──」
シドニー「じゃあ、野茂みたいに大リーグに来る予定とか?」
伸行「あ……ええと、それはないと思う。(←いちおう日本にいるころに、マンガを読んだ)」


阿部「5番手──日本の職業安定所の職員だ」
長谷川「あ、ええと、すべての職員がこういう恰好をしているわけではなく、とある職員だけのことで──」
クラーク「アメリカの一昔前の銀行員──といったイメージにも近そうだが……」
吉家「ハローワークに行くと、あんな堅物そうな職員がいるのか?」
築島「たまたま、そういう人がいただけかもしれませんけど……。ちょっと失業するのが怖いですね」

長谷川「6番手──ええと、日本の明治・大正時代の書生──ええと学生です。まだ洋服が普及していなかった時代なので……」
美雪「あ、じーちゃんの若いときの写真で見たのとそっくりだ。ねね、篤史、ああいう恰好も、篤史に似合いそうだよね」
篤史「……(おれ29歳なんだけど)……」
毛利「では、ここで、いったん海外参加組にバトンタッチしたいと──」
綱彦「待った。ぼくは副司会なのに、ただ立っているだけか?」
ダニエル「座談会ではないからね。もともと副司会者は必要なかったと思うが──。では、きみと僕が先に自己紹介したほうがいいんじゃないか。ちょうど日本組から海外組へのバトンタッチにもなるし」
綱彦「ぼくはトリを飾るつもりだったんだが──仕方がない。これも副司会者の役目だろう。では──」

綱彦「見てのとおり。ジョージ・ゴードン・バイロンだ」
一同「……(奇妙な沈黙)……」
綱彦「さすがに、イメージどおりの仮装なので、誰も文句が言えないようだな。それとも高尚すぎたかな」
遼一郎「『事実は小説より奇なり』か。言い得て妙だ」
恒之「たしかに。実践してるようだな」
一同「……」
毛利「ええと……。では、ここで海外組に移る前に、乾杯といきましょう。『ACORN』の10万ヒットと1周年をお祝いいたしまして、乾杯!」
一同「(いやいやながら)──乾杯!」

      

ダニエル「(咳払い)では──ぼくは、とりあえず駄洒落で、ドレイク提督だ」
アンソニー「フランシス・ドレイクか……。ちょっと意味深な名前のような気がするけど、気のせいかな」
クラーク「おまえが気にしすぎてるだけだ。本人は喜んで仮装してやがる」
美雪「大航海時代か──いいなあ、あこがれちゃうなあ。7つの海をまたにかけて……格好いいよね。もちろん困難もたくさんあったんだろうけど」
ダニエル「ありがとう、美雪くん。では、これから、海外組ということで──まずは、デス」

クラーク「俺か。『ボニーとクライド』のクライドだ」
ダニエル「映画でクライド役だったウォーレン・ビーティより、いい味出してるよ」
クラーク「殴るぞ」
アンソニー「でも……デスの帽子姿って、初めて見たけど……似合ってるよね。ネクタイもふだんはしないから新鮮だし」
ダニエル「で? きみは? トニー」
アンソニー「なぜか『ボニーが男性だったと想定のもとでのボニー』だって。柏枝のリクエストだよ」
ダニエル「へんなリクエストだが──たしかに、あの映画でボニーが男だったら、もっと面白いかもな。史実はともかく」
クラーク「どこが面白いんだ? 最後は二人揃って蜂の巣にされて、あの世行きだぜ」
ダニエル「エンターテイメントとしての話さ。それより、デス、トニーのスーツ姿を初めて見たのは、きみも同じじゃないのか?」
クラーク「まあな」
ダニエル「未来の弁護士の姿が目に浮かぶようだ」
クラーク「まあな(←実は、トニーのスーツ姿に見とれている)」
ダニエル「(くすくす笑いながら)──じゃあ、次は、シドニーだな」

シドニー「(ふくれっつらで)──えーと、トーマス・エドワード・ロレンス……だそうだ」
ダニエル「『アラビアのロレンス』のほうが、日本の人にも通じやすいと思うけど?」
美雪「あ、ぼく知ってる。ばーちゃんと一緒に名画座に観にいったもん」
篤史「ばーちゃんと? (小声で)遼一郎──あんたの母上って、どーいう教育をしてるわけ?」
遼一郎「普通の教育だと思うが?」
篤史「だって……あの映画は……」
遼一郎「名画だと思うが? 日本人には馴染みにくい中東の歴史を切り取って見せているし、あの時代の歴史を学ぶ上でも、有意義だと思うがね」
篤史「でも……」
美雪「ピーター・オトゥールのロレンスも良かったけど、シドニーも素敵だよね」
篤史「……はあ……。(でも、あの映画じゃ……どっちかというとロレンスは、マ×として描かれてるんだけど……いいのかなあ)」
シドニー「もういいだろ? こんな長いズルズルの衣装は動きにくくて、かなわん」
伸行「でも……もったいないから着てたら?(←実は、通訳の役目を忘れて見とれている)」
シドニー「もったいない? なんで」
伸行「えーと……その、バスローブの丈が長くなったようなもんだしさ」
シドニー「バカヤロ。ぜんぜん違うだろうが。だいたい、おまえだって、その恰好──」
伸行「えーと……新撰組の──って言ってもわからないよね。日本でサムライの時代が終わる直前に、終わりへと向かう流れを阻止しようとした若いサムライの集団がいたんだよ。結局は、流れに逆らえず、ほとんどが戦死してしまったんだけど……伝説として、いまでも芝居や映画になって語り継がれている」
シドニー「……なるほど。だが──その髪は? サムライって、ポニーテールだったっけ?」
伸行「あーえーと。サムライにもいろいろな髪型があったみたいでさ。(←実はよく知らない)」
毛利「広瀬さん、肝心の説明を忘れてますよ。広瀬さんの役は、沖田総司です」
伸行「あ、そうか。ええと、その新撰組の中で、一番剣道の腕が立つと言われたんだけど、結核で先に亡くなってしまった隊士だって」
シドニー「早死にしたのか? 何歳で?」
毛利「たしか25歳です」
シドニー「バカヤロ。そんな自分より若く死んだやつの恰好なんかするなよ」
毛利「じゃあ、土方では? 34歳までは生きてますけど」
シドニー「どっちにしたって戦死したんだろ?」
毛利「それを言ったらキリがないですよ。だいたい昔は平均寿命が50歳くらいですしねえ」
シドニー「……だが……」
ダニエル「きみの気持ちはわかるけど、とりあえず余興なんだし、単純に楽しめばいいんだよ。古式ゆかしい日本のサムライ風のノブをさ」
シドニー「そりゃまあ……」
ダニエル「ということで──あと残っているのは……」
毛利「もちろん、トリを飾るのは、遠野センセたちでございますとも。ささ、では、美雪ぼっちゃまからどうぞ」

美雪「はい。日本の有名なアニメで『銀河鉄道999』というのがあって──その主人公の『鉄郎』という少年です」
アンソニー「『銀河鉄道』か……ロマンチックな響きだね。天の川を鉄道の線路に見立てている話?」
美雪「はい! そんな感じです。それもクラシックな蒸気機関車のイメージで──古典的な童話で宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』というのがあるのですが、そのモチーフをさらにSFに発展させたというか……」
シドニー「へえ、蒸気機関車? そいつは楽しそうだな。だが、そのマントと帽子は?」
美雪「ええと、これは童話のほうとは関係なくて、アニメのほう独自のキャラ設定みたいで──旅先の気候が寒いので防寒着です」
シドニー「なるほど、いまどきのダウンパーカーじゃないのは、蒸気機関車と同じか」
毛利「なかなか好評のようで、良かったですね、美雪ぼっちゃま。さて、続きましては──宮城さん」

篤史「あ、俺? ……ええと、どう説明すればいいのか。日本のマンガの古典的名作といわれている『トーマの心臓』というマンガの登場人物で、『オスカー・ライザー』……っていっても、わかるかなあ。ええと、ドイツのギムナジウムが舞台で──」
ダニエル「ドイツ語は不得手だが、大学進学を目的とした中高等学校のことだっけ?」
篤史「ええと……たぶん」
クラーク「それで? 『心臓』というタイトルからして、医学部進学を目指す生徒でも出てくるのか?」
篤史「医……? は……出てこなかった……と思う。生命の象徴のようなもので」
アンソニー「トーマって人の名前だよね? 病気かなにかなの?」
篤史「じゃなくて──最初が彼の死から始まるので──彼がなぜ死んだか、というのが物語のベースになってる」
綱彦「名作だな。だが、ぼくの篤史のイメージとしては、『トーマの心臓』より『ポーの一族』のエドガーだな。そんなそっけないスーツより、あのマンガに出てきたようなブラウスのほうが、ずっと似合うのに」
シドニー「ポー? エドガー? エドガー・アラン・ポーか???」
綱彦「吸血鬼の話だよ」
シドニー「……なんで、ポーの一族が吸血鬼なんだ?」
篤史「だからフィクションで──」
ダニエル「なんだかよくわからんが、ってことは、そっちの彼が『ポーの一族なのか』」
(──と、黒ずくめの衣装を着た遼一郎を見る。)
遼一郎「私のどこが吸血鬼に見えるのかね?」
毛利「失敬な。遠野センセの本日の仮装は、『修道士』ですぞ」
綱彦「修道士……? 教会や僧院で修行中の坊さんのことか。いつから宗旨替えしたんだ?」
遼一郎「単なる仮装だ」
美雪「……ねえねえ、篤史、僧院ってたしか女人禁制なんだよね?」
篤史「……どこでそんな話を?」
美雪「ばーちゃんと一緒に見た映画で……『薔薇の名前』だっけ?」
篤史「……(どういう教育をしてるんだろう?)……」

吉家「修道士だと言われても、なぜか吸血鬼に見える……」
築島「先輩ったら。先輩だって、ぜったいにビル・ゲイツには見えないですよ」
板倉「おれもジョブスなんかじゃなく、日本の坊さんの恰好でもしてくれば、もっと面白かったかなあ。かつらでもかぶってさ」
岡崎「……恒之ってばっ」
綱彦「いや、吸血鬼は『ポーの一族』のように美しくなければ。やはり、篤史が吸血鬼に扮するべきだったよな」
美雪「おじさん。篤史のオスカーのどこがいけないのさ」
綱彦「……なんだと?」
毛利「まあまあ。皆さん、いろいろ感想はお持ちと思いますが──ここで、特別審査員のかたにご登場いただきましょう」
阿部「……審査員? そんなのいたのか?」
長谷川「あ……もしかして、あの人じゃない? 『特別出演につき仮装不要』の但し書きがあった──」
クラーク「まさか──ジェローム?」

 そこでドアが開き、法曹界で高名な弁護士、ジェローム・スウェイン氏登場──

アンソニー「……『仮装不要』じゃなかった……みたいだね」
ジェローム「こういう席では、照れずに乗ったほうが勝ちだ。それに一度やってみたかったのだよ。いまでもイギリスの法廷では、判事たちがこういった扮装をする習慣があるしな。私も何度か傍聴したことがあるが、興味深かった」

 そう言って高名な弁護士は、中世風のかつらとガウン姿で、楽しそうに笑ったのだった。

===THE END♪=== 

   
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禁・無断転載 柏枝真郷