2000年 あけましておめでとうございます。
特別お年玉といたしまして、各キャラの新年の風景を実況レポートいたします。
 

 日本のレポーター:毛利直樹(または、占い師もーり)
「謹んで新春の御挨拶を申し上げます。昨年は、柏枝のHP『ACORN』ならびに、拙者の占い小屋にお越しくださいまして、まことにありがとうございました。本年もよろしくお願いいたしま……え? 拙者の挨拶なんか、どうでもいいから、さっさとレポートしろって? それはいけませんよ。こういった御挨拶は、けじめですから、きちっとしておかないと……はいはい、承知しましたよ。ったく、柏枝めが……こんなレポートより遠野センセのお誕生日の準備のほうが大切なのに……ぶつぶつ。で? 最初はどこに……墨田区向島? そこなら拙者の実家の近くでございますな」

 浅草から隅田川を挟んだ向島──近代的な高層マンションと古い木造家屋が共存する街の路地裏には、古式ゆかしい門松や注連縄が飾られている。そこを紋付き羽織に、なぜか馬の尻尾のような長髪をなびかせて歩いてゆくのは、呉服屋の馬鹿旦那、毛利直樹である。
 たどりついたのは、小さいながらも年代物の板塀と、木戸に囲まれた家──表札には「平賀」と書かれている。

築島:先輩、雑煮を食べたら、羽子板か凧揚げでも、しませんか?
吉家:羽子板……そりゃ、女がするもんだろ。凧揚げだって、広い河原にでもいかなきゃ無理だろうに。
ひいばーちゃん:朋也、吉家さんがお困りですよ。吉家さん、遠慮せずにたくさん召し上がってくださいね。
吉家:あ、はい。すみません、新年そうそうお邪魔したうえに、ご馳走になって……。
ひいじーちゃん:いやいや、賑やかなほうが嬉しいですよ。それより、次の老人会の会報ですが、「わしらにもできるインターネット」という特集でも組もうかと思うので、あとで相談に乗ってくださらんか。年金で買える範囲の製品の選び方とか……最近じゃ、ゲーム機でもネットができるんだそうですな?
築島:ひーじーちゃん、お正月なんだから、老人会の会報なんかどーだっていいだろ。それより、お正月らしく凧揚げを。

毛利レポーター
「以上、えーと『社内恋愛こんぷれっくす?』……柏枝って、『厄介』をさぼってる間に、こんなもんをルビー文庫に書いてたんですか。ったく……まあ、とにかくそのキャラたちの新年の様子でした」
 (陰の声)「次は、東京都下。遠野邸」
毛利レポーター
「え? もう遠野センセのお屋敷ですか? そんな、あそこはスペシャルで、最後のトリを飾る……時差? なるほどNYや国外はまだ新年になってないわけですか。じゃあ、センセのお屋敷へ」

 東京都下──駅前のバス停から、バスに乗って約二十分。
 武蔵野の原生林が残る住宅街の果て、すっかり葉の落ちた枝が蜘蛛の巣のようにからみあう広大な霊園のすぐ隣に、例のおんぼろ洋館は建っている。
 おそらく昨年に落ちたままの枯葉が木枯らしに舞い、雑草で荒れ果てた庭に囲まれた幽霊屋敷の門を、いましも、おそるおそる通ろうとしているのは、スクーターに乗ったNTT職員である。
NTT職員:(正月だってのに……なんで、この屋敷って、電報なんだろう?)遠野さーん、電報です。
 ぎしぎしと玄関ドアを開けて、ひとりの青年が出てきた。セーターの袖から白い包帯がのぞいている。
篤史:あ……はい。どうも、ご苦労さまです。『アスゴゴツク』……美雪か。
毛利:宮城さん、あけまして、おめでとうございます。
篤史:……毛利さん……年明け早々に、もう来たわけ? 呉服屋のほうは? いちおう跡取りの若旦那なのに。
毛利:店はお休みに決まってるじゃないですか。あ、そうそう、三日の初売りはうちも福袋をご用意してますから、ぜひ、いらしてください。センセや宮城さんにぴったりの呉服地もあるかと思いますよ。これ、広告です。うちの近所だと新聞の折り込み広告に入ってるんですけど。
篤史:そりゃどうも(呉服地だけ買ってもね……)
毛利:あと、これが、拙者の母特製の田作です。センセの大好物ですから、たくさん用意してきました。
篤史:好物って……重箱いっぱい……。それに、たぶん美雪も持ってくるんじゃないかな。
毛利:あ、美雪ぼっちゃまもいっらっしゃるんですね。それはめでたい。やっぱりお正月は家族が揃うべきですよ。センセのお誕生日でもありますし……ところでセンセは?
篤史:さあ? 昨夜は伊藤さんと飲んでたみたいだけど……。おれが起きたら、もう伊藤さんは帰ったみたいでさ。たぶん、書斎じゃないかな。
毛利:書斎……ってことはご執筆ですか。さすが、遠野センセ。次回作はなんでしょうなあ。
篤史:さあね。(実を言えば、年末進行の都合で、つい三日前に血みどろのイラストを描き終えたばかりで、次のイラストなんか想像したくもない)
毛利:でも、都合がいいじゃないですか。センセが書斎にいらっしゃる間に、準備をしてしまいましょう。
篤史:準備って?
毛利:そりゃあ。
美雪:決まってるじゃん、父さんのお祝いだよね! 篤史、あけましておめでとう!

(以下、ご想像にお任せします。遼一郎のお誕生日インタビューは後ほど)


さて──日本から約半日遅れで、NYや架空の街イーストリバー市にも2000年がやってきます。

NY恒例、タイムズスクエアでのカウントダウン──掏摸や置き引きが多発し、場合によっては怪我人も出るため、運の悪い警官たちは警備にかり出されている。
日本の旅行会社もかきいれどきで、一番人気のオプショナルツアーは、遊覧船による年越クルーズだ。
したがって……。
シドニー:あーもー、なんだって、こんなに人がうじゃうじゃ湧いてくるんだ。ヘンリー、向こうの警備状況はどうなってる?
ヘンリー:いちおうOKです。問題はミレニアム・テロですよね。うちのケートが新聞で読んだそうですけど、安全な日本でも、ミレニアム・テロらしいものが暮れになって頻発したとかで、駅のコインロッカーが閉鎖されたそうですよ。
シドニー:へえ……日本でもか……。
ヘンリー:ノブも今日はバイトですか?
シドニー:豪華遊覧船のオプショナルツアーだとさ。いまごろ、うまいもん食ってるんじゃないか。

同時刻、ハドソン川上の遊覧船の中で。
清美:広瀬さん、お客さまのひとりが船酔いしちゃったみたいで、展望デッキに上がっていったんですけど……その後、帰ってらっしゃらないんですよ。
伸行:トイレにでも行ってるんじゃないの? 男?
清美:いえ……それが女性なんですけど……念のために化粧室を探してみたんですけど、いらっしゃらないんですよ。
伸行:一人旅なわけ? 連れの客はいないの?
清美:いえ、新婚旅行だとかで、旦那様のほうはテーブルにいらっしゃいますけど……。なんだか、喧嘩したみたいですよ。
伸行:またか……。わかった、じゃあ、おれ、展望デッキのほうを探してみる。ったく、とんだ新年だなあ。

(以下、ご想像におまかせします)

国(なんせ架空の街なもんで)と街が変わって、こちらはイーストリバー市。
ひび割れたコンクリートの建物が林立する、ミラクルロード。安っぽいネオンが輝く、ゲイバー「WILD」では──

「10……9、8、7、6」
「5、4、3、2……1」
「ゼロ! HAPPY NEW YEAR!」
 集まった客たちが一斉に、歓声を上げたそのとき──
 片隅のカウンターでは、
「ハッピーニューイヤー、デス」
 緑の瞳に黒髪の美しい青年が、うっとりと微笑んで、連れの男にキスをした。
「新年おめでとう、トニー」
 よれよれのスーツを着たその男は、黒髪の青年を抱き寄せて、キスを返した。

(ここだけは、わりと平和なようですね)
 

皆さま、あけまして、おめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
柏枝真郷

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